本文へスキップ

馬場博幸研究室HomePage

分散エネルギー資源活用工学

再生可能エネルギーのうち主力である太陽光発電などの自然変動電源(VRE)は、人為的な出力コントロールが難しいことから、電気自動車の充電などがVREと協調動作する”電力の使い方”も同時並行的に検討・導入を進める必要があります。当研究室は、IoT技術を活用してこれに対する解決策を研究開発し、産学連携によりその社会実装を目指しています。

研究テーマ
 配電線を使った電力の供給は、今から130年余前の明治20年(1887年)に現在の東京電力HDの前身である「東京電燈会社」が東京都中央区日本橋茅場町に発電機を設置して開始したと言われています。それ以降の百年以上、戦時中やオイルショック、東日本大震災など特殊な事情があった時以外、電力は需要(使う側)に供給(発電)が追従して需給バランスを維持してきました。それが出来たのは、発電機という人間がコントロールできる機器が主役だったからです。
 現在、地球温暖化回避が世界的なテーマとなり、いわゆる脱炭素社会構築の具体論をどうするのかが議論されています。その中で、もちろん太陽光発電や風力発電は重要な役割を担うでしょう。再生可能エネルギーにもいろいろな種類がありますが、太陽光発電等は「自然変動電源(VRE,Variable Renewable Energy)」と言われるように、人間の言うことを聞いてくれるわけではなく、まさにお天気任せ、風任せの存在で、今までの火力発電などとは根本的に異なる電源です。
 今のところ太陽光発電等の出力変動は、主に火力発電の出力を逆パターンで変化させることによって吸収し周波数を維持していますが、それも限界に来ています。現に九州地方では太陽光発電設備が大変多くなり、その出力を抑制せざるを得ない事態が度々発生しています。今後、より一層VREを増やすには、単にこれらを増やすだけでなく、需要側、すなわち、電力を使う側の構造変化も併せて必要となるでしょう。社会経済活動はエネルギーの都合に合わせて行われているわけではありませんが、一部分は考え方を逆にしてエネルギーの都合に合わせてやる必要もありそうです。まさしくパラダイムシフトが求められているのです。
 電気料金で需要変化を誘発する試みは随分前から行われてきましたが、期待するほどの変化は起きていないようです。もともと電力は価格弾力性が低いと言われており、そのことが改めて確認されてしまった恰好です。他には、我々が慣れ親しんだ仕掛けとしてタイマーによる家電動作がありますが、タイマーではお天気の都合に合わせることは難しそうです。そのため、例えば留守宅でもVREの状態に合わせて、電気自動車(EV)の充電が行われるなどの新たな仕掛けが必要になりますし、VRE電力が多く発生している場所は必ずしも追加的な電力を必要としていない場合もありますから、このような需給調整の仕組みは、例えば関東一円くらいの規模で機能する必要がありそうです。幸いIoT (Internet of Things)という技術が発達してきており、これを上手く使えばVREをより多く導入できる電力システムが作れそうです。当研究室はこのような仕組みを想定しながら、それに必要な要素技術の開発研究とその社会実装方法について検討を進めます。
 

ナビゲーション